施術家を目指した経緯

自身に降りかかった大病の克服と原因解明の大切さ

どうして施術家の道を選んだのかと、よくお客様からご質問を受けるんですが、子供の頃からツボ押し（経絡経穴）になんとなく興味があり、両親や知り合いの身体を押してあげると「気持ちいい」と言ってもらえるのがとても嬉しくて、よくやっていました。皆さんの中にもご存知の方がおられると思いますが、まだ私が小さかった頃、日本の指圧療法の創始者である浪越徳次郎先生の「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く。」という言葉が流行しました。その時はなんとなくでしたが、今思えば私も浪越先生の考え方に感銘を受けていたんだと思います。ただこの道に入ることもなく、ごく普通の人生を歩み、家庭を築き、子供にも恵まれ、幸せな生活を送っていました。

幼い頃からずっと健康優良児で、健康面でも何の不自由なく生活をしてきた私ですが、32歳の時に突然、吐血をしました。極度の貧血から全身の力が抜けて動けなくなってしまい、激しい頭痛で何も考えられなくなり、自分の身体に何が起きているのか、ひどく困惑したことを今でも思い出します。お医者様に診てもらった検査の結果は、スキルス胃がん。若かったこともあり、すぐに手術しなければ半年後の命の保証はできないとの宣告を受けました。

「ちょっと待ってください。子供もまだ小さいですし、半年後に急に亡くなると言われても困ります」それが宣告を受けた時の私の率直な感想でした。そして同時に「人間の身体ってこんなに脆いんだ」とその時、本心からそう思いました。